RSS
Admin
Archives

明日は檜になろう あすなろ弁護士日誌

大阪の「あすなろ法律事務所」所属弁護士が発信

プロフィール

asunaro.l.o


■弁護士法人あすなろ(あすなろ法律事務所)
2003年に設立し、個人・法人のみなさまのご相談に幅広く対応しています。
弁護士が日々の出来事や法律のことなどを更新しています。

■URL
http://www.asunaro-l.gr.jp

■大阪事務所
〒541-0054
大阪市中央区南本町1丁目4番10号
ストークビル4階
TEL
06-6268-5070
アクセス
大阪市営地下鉄堺筋線 堺筋本町駅
1番または2番出口より徒歩2分


■奄美事務所
〒894-0026
奄美市名瀬港町22番23号
TEL
0997-57-6211
アクセス
朝日通りバス停前

カレンダー
05 | 2012/06 | 07
- - - - - 1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30
最新記事
カテゴリ
月別アーカイブ
最新コメント
最新トラックバック
検索フォーム
リンク
QRコード
QR
Powered by fc2 blog  |  Designed by sebek
--.--
--


--:--
上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
2012.06
27
Category : 法律関連
1 はじめに
日本経済はいまもって長期の不況から抜け出せません。
しかも、大震災の影響もあり、現在、不況からの脱出の出口すらも
なかなか見えてこない状況が続いています。

そのため、取引先に対する売掛金債権などが焦げ付く、あるいは、
取引先が約定どおりの支払をしてくれないなどの事態も頻発しています。

このような取引先による債務不履行が起きた場合、債権者としてあらかじめ手を打っておかないと、
あるいは、出来るだけ速やかに事後対応をしないと、甚大な損害を被ってしまうおそれがあります。

そのような事態にならないためには、債権者として、どのような点に留意しておくべきなのでしょうか?
債権の保全・回収の具体的な方法は、業界ごと、会社ごと、取引先との固有の関係ごとに
必然的に異なってきますので、本ブログでは、売掛金債権などの保全・回収方法の一般論を
ご説明したいと思います。

2 取引を開始する前にすべきこと
(1)信用力調査
まずは、取引先の信用力の調査・検討をしなければなりません。
飛び込みの引き合いがあった場合はもちろんのこと、本格的な(規模の大きな)取引を
今回初めて開始するといった場合には、取引先の信用力をあらかじめ調査・検討する必要があります。

とはいえ、実際にどのような調査をどの程度まで行うべきなのかは、
言うは易し行うは難しで、そう簡単なものではありません。
金融機関のように与信調査能力を備えた組織ではない一般の中小企業が、
取引先の信用力を正確に調査できる範囲も、当然ながら限定されています。

しかし、とはいえ、この点をあらかじめ意識しているかどうかは、
「大きな落とし穴」にはまり込む可能性の高低にかかわってくる大変重要なポイントです。
業界内部での評判、当該取引先の取引相手からの聞き取り・情報収集、
当該取引先の過去数年間の業績や社内状況(どのような会社事務所を構えているか、
どのような業務処理体制が敷かれているか、電話対応や事務対応はどのようなものであるかなど)を、
あらかじめ一通り調べて検討しておくことで、少なくとも、後から考えてみれば明らかに問題があると
思われるような相手方との間で取引を行うことは回避できるでしょう。

ただ、この点で気をつけないといけないのは、いわゆる取り込み詐欺の危険です。
取り込み詐欺というのは、取引当初の頃は、比較的小規模の取引について、
約定どおりにきっちりと支払等をすることによって、まずは取引相手を信用させたうえ、
取引規模を大きくした後、売掛金の支払や債務の履行を全くあるいはほとんどしなくなる結果、
信用してそれなりの分量・規模の取引に応じてしまった相手方に多大な損害を与える、というものです。

残念ながら、どれほど意図的にやられているかは別として、世間では、
こういう「取り込み詐欺的な形」で不良債権が増大させられているケースが多いと思われます。

つまり、信用力の調査・検討は、取引を開始する前だけではなく、適宜、そして随時、
行っていくことが必要であり、特に取引規模を大きくしていく過程においては、
担当者レベルの判断だけではなく、会社全体としてその是非を検討し、
不断のモニタリングをすることが望まれるということです。

(2)社内の売掛金管理体制の整備
前記2(1)の点とも関連しますが、相手方の与信調査・管理と同じぐらいに大事なこととして、
自社内部の売掛金管理体制の整備が挙げられます。
いくら事前に取引先の信用力調査を行ったとしても、実際に取引が開始された後、
当該取引先との間の取引状況(取引規模や取引対象物の特徴や傾向、売掛金等の未払状況など)を
タイムリーかつ正確に把握しておかないと、取引開始後の取引先の状況の変化や問題行動を早期に発見・認識し、
それに対して速やかに適切な行動を取ることが出来ません。

しかも、ここで重要な点は、この点は担当者に任せきりにしてはいけないということです。
一般に、担当者はどうしても、自らが担当している(場合によっては自らが開拓してきた)取引先の言葉を信じ、
あるいは自身の売上ノルマを達成するため、問題ある取引先の存在について会社に報告することなく、
ずるずると(または、場合によってはより大規模に)当該取引先との取引を継続してしまいがちです。

そのため、会社として、社内にダブルチェック、トリプルチェックの体制を整備し、
担当者レベルの個人的な感情や思惑だけでは取引継続が出来ない仕組みを構築する必要があります。

また、場合によっては、担当者が社内チェック体制の目をすり抜けようと、社内報告書等を偽造したり、
虚偽報告を上司に対してしたりすることもあり得ます。
そのため、担当者から上司や会社に対する報告をベースとした社内チェック体制だけではなく、
売買契約書や請求書・納品書などの客観的な資料の確認などを内容とする「社内監査」を
定期的に実施することも望まれます。

うちはそこまで悪いことをする従業員はいないとお考えになるかもしれませんが、
万が一のことを考えれば(万が一のことが起きた場合には会社に甚大な損害が生じますので)、
そのようないわば極限事例を念頭に置いた社内体制を整備しておくべきと言えます。

(3)取引保証金、物的担保、人的担保の要求など
上記のように取引先の信用力調査を行い、また、自社内の売掛金債権の管理体制を整備したとしても、
実際問題としては、様々な事情により、一定割合(額)の不払いが生じてしまうリスクを
完全に払しょくすることは出来ません。

そのような、いわば必然的に生じる不払いリスクのヘッジのためにやるべきこととしては、
取引保証金、物的担保(抵当権や質権の設定)、人的担保(保証人、連帯保証人)を
取引相手に求めることが挙げられます。

その中でも最も効果的だと思われるのは、当該取引先との間の取引規模の数カ月分に相当する金額の
取引保証金を差入させることです。
しかし、これも言うは易し行うは難しで、全ての取引について、あるいは全ての取引先について、
取引保証金を差し入れるよう求めることは現実的ではないと思われます。
取引保証金を差し入れないといけないのであれば、あなたのところとは契約(取引)しませんと
言われてしまうかもしれません。
取引保証金を実際に差し入れさせることが出来るのは、力関係に一定の差があり(当方が有利)、
かつ、取引先が一定の資力を持っている場合に限られていると言えるかもしれません。

そうすると、現実的には、抵当権や質権などの物的担保の差入れか、あるいは連帯保証人を付けることを
取引先に求めることになります。
取引先の所有不動産あるいは代表者の所有不動産を担保として差し入れさせたうえ、
さらに、代表者に連帯保証させることが出来れば良いですが、これらの不動産には既に他の抵当権が
設定されている場合や、代表者にはそもそも資力がないと思われるような場合には、
上記のようなことをしても、債権保全・回収という観点からはほとんど意味がありません
(取引先及び代表者に対して心理的プレッシャーを与えるという意味はあると言えますが)。

そのような場合には、もちろん相手方の承諾・同意があることが前提とはなりますが、
代表者の親族などの第三者が所有する不動産に担保を設定したり、あるいは、
これら第三者に連帯保証人になってもらったりするという方法が考えられます。

なお、抵当権などの担保を実際に設定するとなると費用がかかるし面倒なので、
不動産の権利証だけを預かっておくということがあるようですが、権利証の紛失手続などを経れば、
必ずしも権利証がなくても不動産の譲渡その他の処分をすることは可能ですから、
これはほとんど意味がないと言わざるを得ません。

また、以上の取引保証金、物的担保、人的担保の要求に加えて、取引先が行っているその他の取引の
具体的な内容(特に、当該取引先が売掛債権を有することになる取引の内容)や、
当該取引先が使用している預金口座情報などを取引開始前に開示させることが出来れば、
それは後に非常に有用な情報となり得ます。


今後のブログでは、以上のような「事前対策」を経たうえでも実際に売掛金等の不払いが生じてしまった場合の
対応方法について、ご説明したいと思います。


弁護士 原正和

スポンサーサイト
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。