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明日は檜になろう あすなろ弁護士日誌

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2012.11
08
Category : 法律関連
オンライン上のサーバをレンタルするサービスを提供している
ファーストサーバ(以下「F社」)という会社で、
プログラミングミス等により、利用者のアップロードしたデータが
完全に消失するといった事件が起きたようです。
記事

クラウドコンピューティング(あるいは単にクラウド)といった
インターネットを利用したネットワーク構築により、
高性能な機能を低価格で利用できるサービスが話題になっていますが、
今回の事件は、外部サーバを利用する場合の典型的なリスクの一つが
表面化したものと言えそうです。

レンタルサーバ上のデータを消失した利用者は、自らバックアップを
とっていなければ非常に大きな損害を被りかねないところですが、
F社の約款をみてみると、以下のように規定されています。
レンタルサーバサービス利用契約約款


第16条(データの保管およびバックアップ)(一部抜粋して要約)
1.契約者は、サーバ上において保管するファイル、データ等を自らの
責任においてバックップするものとする。
2.F社がバックアップすることはあるが、これは契約者のデータを
保全するためではないため、このデータが完全であることを保証しない。

第35条(免責)(同上)
4.F社は、システムの不具合によるデータの破損・紛失に関して一切の
責任を負わない。
8.4項は、F社に故意または重過失が存在する場合または契約者が
消費者契約法上の消費者に該当する場合には適用しない。


上記の約款の規定によれば、消費者契約法上の消費者に該当しない事業者は、
自らバックアップしていなかったためデータを復元することができず、
大きな損害を被ったとしても、F社の重過失を立証できなければ損害賠償請求を
することは難しそうです。

ここでいう重過失とは、判例上「ほとんど故意に近い著しい注意欠如の状態」を
いうものと解釈されています。
数年前に話題になったジェイコム株式の誤発注について、
誤発注をした証券会社がシステム運営者である証券取引所の重過失を主張して
損害賠償を請求した事例では、証券取引所の重過失が認められ、
証券会社の損害の一部を賠償する判決(東京地裁H21.12.4)がでています。

ただ、今回F社に重過失が認められたとしても、約款には、

第36条(損害賠償額の制限)
本サービスの利用に関しF社が損害賠償義務を負う場合、契約者がF社に
本サービスの対価として支払った総額を限度額として賠償責任を負う。

と規定され、損害額の上限が定められています。

損害賠償額の制限については、ホテルの宿泊客がフロントに預けなかった物品等で
事前に種類及び価額の明告のなかったものが滅失、毀損するなどしたときに
ホテルの損害賠償額を15万円に制限する宿泊約款の定めは、
ホテル側に故意又は重大な過失がある場合には適用されないとした
最高裁判決(H15.2.28)があります。

しかし、物品の滅失等により宿泊客に損害が生じることと異なり、
プログラミングミス等によるサーバ内データの消失は多数の顧客に同時に損害を
発生させる可能性が高いことから、その賠償額を制限することの合理性は
より高いものがあるとの評価もでき、第36条の規定が有効と判断される可能性も
少なくないと思われます。

利用者側の立場からすれば、損害賠償請求するハードルは
かなり高いものがありそうですので、外部サーバにデータをアップロードする場合は、
定期的に当該データのバックアップをとる仕組みを作っていく必要がありそうです。
レンタルサーバ業者であればバックアップくらい何重にもしっかりとっておいてほしい
ところではありますが。


洪 勝吉

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